経理物語1話~3話

第1話 個人事業か法人か? PART1平成17年4月1日作成

4人は同じ学校の水泳クラブ同級生、キャプテンだった借方一郎が毎回音頭をとり恒例の同窓会を開いた。
先日行われた全日本水泳の話で盛り上がり、宴もそろそろ終わりに近づいたとき、借方一郎が・・・・・・・

借方一郎   もうそろそろ独立して自分で商売でも創めよかな~って思ってんねんけど。

記帳花子   商売は、そう簡単なもんちゃうで!ちゃんと計画書作ってるの?とにかく、最初の計画は大事やで。

借方一郎   何も計画してへんけど大丈夫やて!とにかく大事なんは営業やで!得意先から仕事もらえる段取りついてんねん。

帳簿太郎   まあ、お前の営業力は認めるけど、商売創めるにはいろんなハードルがあるで!まず、法人か個人事業かどっちでやるん?

借方一郎   法人創ったら得意先とかにも信用ありそうやし、ワシ社長になれるねんな。

帳簿太郎   でもな、法人設立しても良いことばっかりでなくメリット、デメリットあるからよく考える必要あんで!

繰越宗男   ほんで、法人でもたくさんあってな、株式、有限、合名、合資社団、財団いろいろやで。流行のNPO法人もあるな。

借方一郎   そんなにようさん並べても解れへん! 株式と有限でいいんちゃうん。(怒)

帳簿太郎   まあまあ、確かに借方君の場合はNPO、社団、財団までは考えんでも良いけど株式と有限と個人事業それに合名、合資なんかは比較して考える実益はあると思うけどな。

借方一郎   有限会社と株式会社はだいたい分かるけど合名、合資って一体どんなんやねん?

帳簿太郎   まあ、合名会社は簡単に言うと資本金いらんけど、借金とかは経営者が直接に無限の責任を負うことになるんやで。合資会社は、無限の責任とる経営者と有限の責任とる経営者の混ざったもんやな。

借方一郎   どないやねん?有限責任と無限責任ってどういうことなん?

帳簿太郎   そうやな~ 例えば会社創って営業してたら、商品仕入たり、なんか備品買ったり、借金したり、こんなんを債務って言うけど
その債務を会社が支払うことができひんようになった時、誰がどんだけ責任とるか、ちゅーことになるわな。

借方一郎   責任とらんでええときがあるんか?

帳簿太郎   有限責任はさっき言うたけど、資本金を限度に債務を支払ったらいいから、法的には経営者には責任ないんや。
無限責任は資本金いらんけど経営者の個人財産で責任とらなアカン。

借方一郎   ふ~ん

記帳花子   そうそう、最近は資本金が1円でも株式会社や有限会社を設立できるって聞いたけど・・・・・

借方一郎   そんなんあったら、有限責任の有限会社か株式会社で資本金1円か。めっちゃいいことばっかりやん。

帳簿太郎   そう、法律上はな!

繰越宗男   そやけど、なんか納得できひんな!資本金1円で有限責任って、お金を貸した人とかはどうなるん?
資本金もあてにできひんし、経営者にも取立でけへん、俺やったら
そんなとこと取引せーへんな!

帳簿太郎   ただ、1円会社創っても5年後に正規の資本金を用意せんかったら解散か合名、合資に組織を変更せなアカンし、
そのことは、ちゃんと登記せなアカンことになってるで。
(ただし2006年の商法改正により増資をしなくてもよくなる予定)

繰越宗男   それでも何か資本金1円で有限責任って甘いな、悪用されそうな気がするけど。

帳簿太郎   そんなに世間は甘くないで。有限責任って言うても例えば融資の場合やったら経営者は保証人になったり、それ相応の 担保を要求されるから、法律と実務は分別せんとな。最近,国会でそのことで野党が質問してたけど、ベンチャー育てるか、金融不安のリスクか、難しい問題やと思う。

帳簿太郎   それと、1円会社を創るんやったら商売創める最初からやないと経済産業局が認めてくれへんで。 個人事業でスタートしてから、その後に1円会社創ろうと思ってアカンで。
(ただし2006年の商法改正で資本金1円でもOK)

繰越宗男   俺のとこは個人事業やけど法人と違っていいこともいっぱいあるで!

記帳花子   そやな、法人にこだわらんでも、個人事業でもメリットあるから、法人と個人を比較してみたらどう?

借方一郎   個人事業か・・・

記帳花子   話は盛り上がってきたけど、もう日付がかわるよ。
       この続きは、また来月にしましょう。

第2話 個人事業か法人か? PART2 平成17年5月1日作成

1ヶ月後、4人は先月と同じ店に集まった。借方一郎は商売の独立に向け得意先への営業努力はしているものの、それ以外の準備は白紙のままだった。

記帳花子  借方君!あれから、独立の準備は進んでるの?

借方一郎  いろいろと費用を計算してたら・・・こんなにお金が必要とはあれも、これも要る。結局300万円位になった。

帳簿太郎  まあ、最初は必要最小限にして、起動にのってから揃えた方がいいよ。

借方一郎  形から入る性格は直らんね。

帳簿太郎    借方君が水泳部に入部してきた時、泳がれへんのに一人だけスパッツで目立とったもんな(笑)

借方一郎  先月の話を聞いて株式会社を作ろうと思ってるねんけど
会社と個人事業とどっちが得なん?

帳簿太郎  そんな簡単に損得で計られへんけど、個人事業は簡単な手続で事業を初められるわな。

記帳花子  会社を作るんやったら定款作成して登記したりするのに結構、費用がかかるし、難しいから司法書士や行政書士に頼んだりしたら別途費用要るで。

借方一郎  全部でいくら位?

記帳花子  ざっくりと、20万円から50万円。資本の額とか自分でするかによって変わるね。

借方一郎  そんな費用は計算に入れてないなー
とにかく、事務所の保証金、備品、商品仕入れとかで300万円やで。

繰越宗男  俺が今でも個人事業主のままの理由のひとつは、儲かってない場合は税金払わんでいいんや。今景気が悪いからな。

借方一郎  会社も儲からんかったら、税金払わんでええんとちゃうん?

帳簿太郎  会社の場合は儲からんでも、法人市民税や法人道府県民税を払わんなあかん

記帳花子  いくらぐらい払うの?

帳簿太郎  資本金や従業員の数にもよるけど、俺の所やったら年間で、法人市民税50,000円と法人府民税20,000円の合計70,000円やで。
もちろん、有限も株式も一緒やで

借方一郎  高っか~

記帳花子  一般に年間所得がおおよそ年商1500万円程度を超えたら個人よりも会社のほうが得やって聞くなー。

帳簿太郎  その他、ちょっと細かいけど株式会社やったら、2年に一回は役員の任期が満了になるから、 そのつど変更登記の費用が必要
(ただし2006年の商法改正により閉鎖会社は10年に一回でもOK)

借方一郎  そうか、個人事業の方が楽かな。

帳簿太郎  確かに楽やけど・・・法人にもいっぱいメリットがあるねんで!

借方一郎  見栄と体裁は捨てる!

帳簿太郎  まあまあ、見栄というより社会的信用は法人やな。

借方一郎  有限責任しか負わへん法人もあるのに、なんで信用されるん?

記帳花子  会社組織の場合やったら登記簿謄本や定款とかに、会社の
財政状況や経営状況を確認することができるからやろうな。帳簿もちゃんとしてるのが当然やし。

帳簿太郎  他にもいっぱい法人と個人事業については言いたいことあるけど、借方君の場合は始めは個人事業が良いと思う。また、今度説明するけど、帳簿の付け方も大変やしとにかくやること多いで。起動にのったら法人を考えたほうが良いで。

借方一郎  それが良いかな。それと皆に発表するけど前から付き合ってた彼女と婚約してん。その彼女に事務をやってもらおかな。

記帳花子  おめでとう!今度彼女連れてきてよ。

借方一郎  よっしゃーこれから毎月ここで俺の経営相談プラス同窓会にしよか。やっぱり持つべきものは友人やな。

第3話 個人事業開始(青色申告)平成17年6月1日作成

梅雨に入ったようで、今日は朝からどしゃぶりの雨。あれから1ヶ月が経ち借方一郎は勤めていた健康食品の会社を退職して、あいさつ周りに忙しい毎日を送っていた。そして4人はいつもの店の てんぐ に集まった。

借方一郎  先月言うてた婚約者をを紹介します。

仕訳良子  初めまして、仕訳良子といいます。

繰越宗男  なかなかの美人やなー そんな美人どこで知り合ったん?

借方一郎  うんうん

繰越宗男  結婚式はいつなん? スピーチよりも歌がええな。

借方一郎  二人で頑張って商売が起動にのったら、結婚しようと思ってんねん。

記帳花子  ということは仕訳さんと一緒にやるん?

仕訳良子  はい、初めてなので経理を勉強してるんですけど、難しくて。

帳簿太郎  いちばん初めにやるべきことは、いろんな届出ですね。

借方一郎  個人事業でも届出しなあかんことあんの?

帳簿太郎  税務署に届を出さなアカンで。(開業届、青色申告、専従者届、源泉の納期特例)

借方一郎  面倒くさいなー 

帳簿太郎  借方君の所はまず、開業届と、青色申告やな。
青色申告するためには個人事業主やったら事業開始してから、2ヶ月以内に税務署に届出する必要があるねんで。(開業届は1ヶ月以内)

借方一郎  個人事業は白色申告でもかめへんって聞いたけど、青色申告にしたらどんな良いことがあんの?

帳簿太郎  そやなー  青色申告で一番おいしいのは10万円控除と65万円控除やな。それと他にもいろんな特典があるねんで。早い話、ちゃんと帳面つけたら税金を少し安くしたるちゅーことやねん。

繰越宗男  ワシとこは65万円控除してるで。

借方一郎  よう分からん!

帳簿太郎  簡単に言えば、儲かった分(利益)からさらに10万円or 65万円を引いて所得が確定されるってことやな。

記帳花子   経費みたいに引けるっていうことやね。

借方一郎  それやったら、65万円控除できるように青色申告せな損やん。どうしたら65万円控除受けれるのん?

帳簿太郎  複式簿記言うてな、原因と結果を同時に振り分けて帳簿を作ると受けれるけど初心者には難いな。
簡単に言うたら、きちんと簿記のルールに則って“会社の財産”と“会社の収益”の分かる帳簿ををすることやな。 

借方一郎  どこが簡単に言うてるねん!

帳簿太郎  例えば、商品を現金100万円で売ったとするやん。そのとき、借方君やったらどのように帳面つけるかな?

借方一郎  売上100万でいいんやろ。

帳簿太郎  それだけやったらアカンねん。 100万円入った結果に対する原因は商品を売ったちゅうことやから、現金(会社の財産)100万円、売上(会社の収益)100万円を、それをそれぞれの帳簿に振り分ける作業がいるんやで。

借方一郎  へ~

仕訳良子  いろいろ難しそうですね。私みたいな素人でもできるでしょうか?

記帳花子  大丈夫。慣れたら帳面も簡単やで。

帳簿太郎  キチンと帳面つけたら、儲かってるか儲かってないかがよく解るし、いずれ会社にして大きくしようと思うんやったら、複式簿記で青色申告すべきやな。

借方一郎  そやな、勉強して青色申告するで!




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